第15回 三宅狂言会
日本には、いろいろな種類の演劇や芸能があり、その中で、狂言は、能とともに室町時代に完成し、650年という長い歴史をもつ演劇です。
能と狂言をあわせて、現在では能楽と呼びます。
能楽は、奈良時代に中国から伝わった散楽という芸能がもとになっています。軽わざや歌やおどりなど、さまざまな芸を見せる能楽は、平安時代から鎌倉時代に、猿楽とよばれるようになりました。そして猿楽のなかの、歌や舞いを中心とする悲劇的で幻想的な劇が能となり、パントマイム的な演技やおもしろおかしいセリフを中心とする劇が、狂言になっていきました。
能と狂言は、前じ能舞台で、いっしょに演じられて、兄弟のような関係にあります。能楽は、足利幕府や徳川幕府などの武家に大人気でした。明治の中ごろからは、多くの人々から親しまれるようになり、今では世界中から注目されています。
手話狂言は1982年にトット基金現理事長黒柳徹子が発案し、和泉流狂言師三宅右近師の指導により、昔から継承された狂言特有の動き、運びをそのままに、手話表現の研究を重ね、古典芸能にふさわしい手話狂言を作り、手話のセリフと声のタイミングや間の取り方にも工夫を重ね、古典芸能の強靭さと手話の豊かな表現力をあわせもつ、「聞える人も聞えない人も共に楽しめる演劇」として国内外で公演している演劇です。手話の豊かな表現力と古典芸能の強靭さを併せ持つ手話狂言は、1987年に「新しいジャンルの演劇を創った」として文化庁芸術祭賞を受賞しました。耳の聞えない演者たちは厳しい稽古を重ね、表情豊かに演じる手話狂言は、現在では「通常の狂言よりわかりやすく面白い」と世界中の多くの人々に親しまれています。40年を超える公演活動の成果として、2021年には能楽界で由緒ある「第31回催花賞」を受賞、能楽界に手話狂言の足跡を残しました。